『女囚さそり第41雑居房』

シリーズ第2弾は主人公『さそり』を含む7人の女囚の逃走劇。劇中のガキンチョの言葉を借りるなら、まさしく『でぃすかばジャパン』。昭和40年代とはいえ、日本にこんな場所があるのか?みたいな荒野をバックに女囚たちがひたすら走る。

演劇っぽい仕掛けや、今で言うところのアニメ的な構図と場面転換。そしてストップモーションの多用なんざ、ただでさえ調子の悪いウチのDVDドライブが読み込みに失敗してるのかと思ったくらい(笑)。演出の工夫がとにかく際立つ。

そんなこんなで、一度見始めたら止まらない映画ではあるのだけれども、「じゃあ、どんな話だったの?」と問われたら、返答に困るのがこの作品。だって、肝心なことは何一つ喋ってくれないんだもの。

明らかに前作の続きなのに、復讐を果たしたはずの『さそり』は、何故だか未だに脱走の常習犯。そもそも演じる梶芽衣子の台詞は「あたしを売ったね」「死んでるよ」のたった二言。もう一人の主役とも言える女囚たちのリーダー格、白石加代子も、終盤での心変わりの理由は語らずじまい。説明なんか最低限、とにかく最初っから最後まで『目ヂカラ』VS『目ヂカラ』な一本。あ、だからこそ、刑務所長の『目ヂカラ』を失った義眼に映るのは、女囚たちによる出刃包丁のバトンリレー…なのか?!

何も考えずに見るべし。疑問を持ったら深みにハマるのがこの映画。よくよく思い返せば、タイトルにある『雑居房』が1カットも登場していない辺りが、この作品の怪作っぷりを象徴している。