『女囚701号さそり』

惚れた男に裏切られ、殺人未遂で刑務所入りとなったのが主人公、松島ナミ。看守や同じ女囚たちからの過酷なイジメに合いながらも自己を貫き通し、やがて脱獄。そして最後は見事に男への復讐を果たす。

誰が言い出したのかは知らないけれど、「『潜水艦モノ』にハズレ無し」って言葉に代表されるように、「刑務所モノ」も同じく、世界から閉ざされた空間で展開されるドラマは、やはり個々の人物の「欲望」がむき出しにされる。さらにこの映画、冒頭から女囚たちの集団ヌード、梶芽衣子のオッパイ、レズビアン…などなど、主に成人男性であろう観客の「欲望」をかきたてるシチュエーションが満載。成人指定になっていないのが不思議なくらい。そう、観ている側も「欲望」というキーワードで、物語と繋がらざるを得ないのだ。

そんな登場人物も観客も「欲望」だらけの中で、ギリギリで知性を保っているのが松島ナミ。嫌がらせで煮えたぎった味噌汁をぶっかける模範囚を逆に大ヤケドさせ、病院送り。劇中の看守と同様、「両手両足を縛られていながら、どうして味噌汁をかけることができたんだ!」って問い詰めたくなるくらいに見事な策略。

「復讐」って概念も含めた「欲望の中の知性」。これこそがシリーズ一作目『女囚701号さそり』の魅力のように思う。